ゾウの遺伝子がガン治療に役立つ可能性が!?ゾウの持つガンに打ち勝つメカニズムを調べてみた

病気の中でも死亡する確率が高いガン、近年では早期発見、早期治療する事で死亡するリスクは減ったとは言え、まだまだ怖い病気です。

そんなガン治療に新たな希望の光が見えて来ました。

しかも、それがゾウの体の機能に隠されていたと言うから驚きですよね。

どういう事かと言うと

ゾウがガンになりにくい理由は?

P53遺伝子とは?

ガン抑制遺伝子のP53と言う遺伝子があって、この遺伝子のコピーを人間は2つ備えているんですが、

象はそのコピーが人間の20倍にも相当するようです。

つまり40個ものコピーを持っている訳です。

それだけでも凄いんですが、更にこの研究を進めている研究者達が、8頭のアフリカゾウとアジアゾウの血液を採取し、

健康な人間11人とリ・フラウメニ症候群(家族性にガンを多発する症候群)の人間10人の血液とを放射線を照射して比較をしてみると

最初は、どのP53遺伝子も同じ状態かと思われていたのが、更に調べていく内にゾウのP53遺伝子は、放射線で損傷したガン化リスクのある細胞を人間より高確率で死滅させている(アポトーシス)事がわかりました。

つまり、ガンに有効なP53遺伝子のコピーを40持つ上に、その遺伝子がガン細胞を修復するよりむしろ死滅させるという機能を持っている。

ゾウのP53遺伝子はなぜ高確率でガン細胞を死滅させるのか?

更に、シカゴ大学の研究者達の最新の発表でなぜゾウのP53遺伝子が高確率でガン細胞のアポトーシスが起こるのかが明らかになりました。

実験でゾウのような巨体の動物で行うのは大変だという事で、近い祖先のマナティの様な動物の組織サンプルを採取し発ガン性物質を使って組織サンプルの変化を観察したところ

ガン抑制因子としても働ける白血病阻止因子LIF遺伝子のコピーを多数持っているという事がわかりました。

LIF6遺伝子とは?

ゾウはLIF遺伝子のコピーの一つである「LIF6」と言う遺伝子を持っていてその遺伝子は通常は非活性化しているのですが、「P53」と密接な関係性を持っていて、LIF6はP53によって活性化する性質を持っています。

ガン化リスクのある細胞があるとP53が活性化してさらに密接な関係のLIF6も活性化して、ガン抑制因子として働きアポトーシスを誘発するから、体内でガン細胞が拡大する前に死滅させることが出来て、

こういった要素がゾウの遺伝子機能が高確率でガンを死滅させる理由という事になります。

ゾウの遺伝子ががん治療に活用できるか?

現在、ゾウのガンに掛かりにくいと言う性質が上記のユタ大学の博士によって、小児ガンに応用出来ないか研究が進んでいるという事です。

ゾウの遺伝子とガン治療に関するまとめ

  • ゾウはガン抑制遺伝子のP53のコピーを多数持っているからガン細胞を高確率で死滅させることが出来る
  • その秘密がどうやらP53と密接な関係を持つLIF6によるものではないかと発表された。
  • 現在ゾウのガンに対する耐性を小児ガンに応用する研究が進められている。

ゾウの驚きのメカニズムがガン治療の現場で役立つ日が早く来て欲しいものです。

その一方で、酒やタバコと言った文明にどっぷり浸かった生活をしている人間が自ら死を選んでいるとも考えさせられました。

今回も最後までお付き合い下さってありがとうございます。